航空機空調システムの電動化




 航空機の空調システムは環境制御装置(以下ECS)と呼ばれ,高高度の過酷な環境下において,搭乗者に調温調圧された空気を提供する重要な装置である.
 従来のECSはエンジンによって圧縮された外気の一部を抽気していたが,この方法ではエンジンで生成された圧縮空気の一部を利用するため,エンジン出力を損なうという欠点があった. 最新機種ではエンジンの代わりに電動コンプレッサで圧縮空気を生成することによって燃費向上の低減に成功している.本研究ではさらに燃費向上を図るために排出空気に着目した. 客室から排出される空気は熱力学的なエネルギーを有しているが,未処理のまま機外に放出される.これを有効に活用するために,客室後方にエネルギー回収タービンを設置し,機内と機外のエネルギー差を利用して エネルギーを回収する方法を考案した.
 現在,巡航状態における外気,機内環境を再現し,エネルギー回収率を評価する実験を行っている.