医用システム工学領域
長縄研究室
教授:長縄 明大
機械をコントロールする
最近のほぼ全ての機械には、コンピュータが搭載されており、制御技術が必要不可欠になっています。本研究室では、コンピュータを使って機械をコントロールする研究や、生体情報のセンシング、および物体駆動アクチュエータの開発などを行っています。具体的には、秋田の竿灯をロボット化してコントロールする研究、ナノテクノロジーを支える基盤技術として精密位置決め装置の高精度制御、ヒトの消化管の運動状態を計測する医療機器開発、多機能化する小型機器の中でも使うことができる超音波モータの開発などです。
図1はバルーンカテーテルを用いた小腸運動計測に関する動物実験の様子です。本手法では、これまで計測できなかった運動波形を捉えており、ヒトの重要な臓器である小腸の運動を解明することが期待されています。
図2は本研究室で発明したモータの駆動原理です。(a)モータは、伸長する圧電素子と板状部品からなります。(b)圧電素子が伸長すると板状部品がしゃくとり虫型に変形して物体を駆動します。
専門分野 |
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制御工学、医用工学、メカトロニクス |
研究テーマ |
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巖見研究室
教授:巖見 武裕
福祉医療工学とバイオメカニクス
機能的電気刺激(以下FES)による運動機能の再建では、マイコンによって制御する多チャンネルの電気パルスで末梢神経、筋系を刺激し、これにより複数の筋を収縮させて麻痺肢の機能を再建します。本研究室では、ロボット工学の観点から生体をひとつの動作機構としてとらえ、FESによる運動再建に必要な研究と機器開発を大学病院と共同で行っています。また、実験的な手法を用いて実施する事が困難な課題に、コンピューター・シミュレーションの技法を用いて取り組んでいます。
図1は脊髄損傷で下肢が麻痺した患者が、機能的電気刺激により下肢筋を動かして自分の足で漕げるリハビリ用車いすです。
図2はセラピストによる上肢の運動療法をサポートするリハビリロボットです。
現在は、より小型化した卓上の上肢リハビリロボットを開発しています。
専門分野 |
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医用生体工学、ロボット工学 |
研究テーマ |
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山本研究室
准教授:山本 良之
機能性ナノ材料の開発と応用
一般に物質をナノメートルサイズまで小さくしていくと、その性質がサイズに依存して変化する新しい機能をもった材料となります。特にナノ粒子は、それを構成する原子の数に対して表面にあらわになっている原子の割合が非常に大きいため、同じ物質でもバルク(塊)の状態と大きく性質が異なることが予測され、驚くような性質が隠されている可能性がある興味深い材料です。 また、磁気を帯びた磁性ナノ粒子は近年、磁性流体として温熱療法(ハイパーサーミア)、薬物輸送(DDS)、MRIの造影剤、磁気分離などの医療やバイオ分野への応用が期待されています。 本研究室では、こういったナノ材料の合成から評価までを一貫して行い、ナノ材料の新奇基礎物性の探求とその応用による実社会への貢献を目指して研究を行っています。
図1は合成した酸化鉄ナノ粒子のTEM像で約10 nm程度の均一な粒径をもつことが分かります。実際には挿入図のようにナノ粒子表面は界面活性剤で修飾されています。
図2は溶媒に分散した酸化鉄ナノ粒子の写真で、磁界がないと粒子の磁化はランダムに向いた超常磁性状態となっていますが、磁石を近づけると磁界に配向して液体のまま引き寄せられていることが分かります。
専門分野 |
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磁性材料、固体物理 |
研究テーマ |
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高橋研究室
准教授:高橋 護
材料表面を改質するダイヤモンド皮膜の合成と応用
ダイヤモンドは、高硬度、耐摩耗性、高い熱伝導率等の優れた性質を持っています。このダイヤモンドを化学気相堆積法(CVD法)で人工的に合成することが可能です。ここで、CVD法の一種である燃焼炎法は、大気中でアセチレン−酸素の燃焼炎によってダイヤモンド皮膜を合成することができます。燃焼炎法は、他のCVD法と比較し、装置が安価で安全、大気中で合成が可能、合成速度が他のCVD法より速いといった利点があります。本研究室では、この燃焼炎法を用いて、ダイヤモンド皮膜を切削工具、人工股関節、歯科用インプラント用材料の表面に直接成膜する研究を行っています。これらの材料の表面にダイヤモンド皮膜を施すことで、材料表面を高硬質処理することができ、耐摩耗性、耐久性等を向上させることが可能となります。このことにより、製品の長寿命化を実現することが可能です。
図1は、大気中でアセチレン−酸素の燃焼炎によってダイヤモンド皮膜を合成している様子です。
図2は、燃焼炎によって合成されたダイヤモンド皮膜の表面の走査型電子顕微鏡写真です。ダイヤモンド結晶が合成されていることがわかります。
専門分野 |
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機械材料工学、材料加工学 |
研究テーマ |
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佐々木研究室
准教授:佐々木 芳宏
油圧・空圧の長所を生かした流体制御技術の開発
油圧制御
油圧システムは小型で高出力であるため、災害現場での復旧作業や宇宙、海中、大深度地下等の極限環境での作業に応用されています。このような、人間が立ち入れない悪環境化では、遠隔操作による作業が効果的です。本研究室では、IPネットワークを使った仮想空間による映像伝送技術や、操作者が操作するジョイスティックへの作業現場の力を反力として提示することで、操作の安定性向上や操作者への精神的負担の軽減についての研究を行っています。
空気圧制御
筋力の低下した高齢者には日常生活における立ち上がり、着座動作が負担になる場合が多く、介護者の手助けが必要になることがあります。本研究室では、介護者の代わりとなる空気の圧縮性を応用した人に優しい立ち上がり支援を実現する機械の開発を行っています。
図1は操作者は、IPネットワークを使い遠方からの伝送映像をモニタしながら、ジョイスティックで油圧シリンダを遠隔制御します。この時、ジョイスティックからは、油圧シリンダの発生力や外部負荷の状況を操作者に反力の強さとして提示されます。
図2は左右の空気圧シリンダで被験者の上肢を支え立ち上がりの支援を行います。被験者の立ち上がりのタイミングをセンサで検知することで、空気圧シリンダの位置、発生力をリアルタイムで可変させながら安定な立ち上がり支援を実現します。
専門分野 |
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油空圧工学 |
研究テーマ |
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関研究室
講師:関 健史
光と機械システムの融合
生体内の血管や消化管、工場内の配管といった非常に狭い領域では、内視鏡などで映像を確認しながら治療や補修といった処置を実施します。適切な処置を行うためには様々な情報が必要になりますが、このような狭い場所にセンサなどを設置するスペースはほとんどありません。そのため、実際には作業者の経験や感覚で処置の判断や決定がされることが多く、限られたものしか処置ができないといった課題があります。
本研究室では、レーザー光や機械を用いる医療・産業分野に適用可能な計測制御システムに関する研究開発を行い、作業者の技術にかかわらず、適切な処置が自動制御によって実行できる手法の確立を目指しています。
図1はこれまで作業者は視覚や触覚などから情報を取得し、作業者本人の判断・決定によって機械システムの制御・操作を行っている。本研究では、これまで作業者が行っていた処置を図1の点線枠部分に示すような計測制御システムで実現するための計測手法や制御手法の検討を行っています。
専門分野 |
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制御工学、医療工学 |
研究テーマ |
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