研究室紹介

環境適合システム領域

三島研究室

教授:三島 望

感性工学に基づく環境効率の高い製品の設計手法
図1 各設計項目の環境効率

図1 各設計項目の環境効率

製品設計においてはどのような機能をどのようなレベルで製品に作りこむかを考える必要があります。ユーザーから強く求められる機能,そうでも無い機能など様々あるからです。近年では製品ライフサイクルにおける環境負荷を最小化する必要がありますから,重要度の低い機能をむやみに作りこむことは得策ではありません。また,機能ばかりではなくユーザーが好む形状や色に着目することで,魅力的で環境に優しい製品を設計できる可能性もあります。研究室では製品の機能,外観を統合的に評価し,全体として環境効率の高い製品を設計する手法について研究しています。

図1はスマートフォンの機能や外観の設計仕様の環境効率を示したものです。バッテリー容量の増加,本体形状や色のバリエーションの増加などの環境効率が高いことを示しています。

専門分野
設計工学、品質工学、感性工学
研究テーマ
  • 誘導場を用いたユーザーに好まれる製品形状の解明
  • 機能と外観の統合評価による高環境効率製品の設計手法
  • 風力発電システムのリスク評価

奥山研究室

教授:奥山 栄樹

より高精度な測定と設計
図1 ソフトウエアデータム実験装置

図1 ソフトウエアデータム実験装置

図2 細管内形状測定装置概略図

図2 細管内形状測定装置概略図

機械では形状を設計する際には直線と円を組み合わせるのが基本になります。工作機械が製品を作る際に、直線と円の動きが基本になるからです。古くから、直線やXステージなどの案内面移動誤差を測定する方法としては、直定規やオートコリメータなどのハードウエア的な基準を用いる方法が行われてきました。当研究室では、反転などの置き換えで複数回の測定を行ったり、あるいは、複数のセンサで測定を行った結果を数値処理してハードウエアデータム以上の精度を実現するソフトウエアデータムと呼ばれる方法を中心に研究しています。

図1は、真直形状や案内面移動誤差の測定を行うソフトウエアデータムの実験装置です。マイクロメートル以下の測定を行っています。

図2は、直径2mm程度の細い管の中の形状を測定する装置の概要です。スタイラスで管内の形状の信号をピックアップし、それを光の信号に換えて光ファイバを用いて管の外まで持っていった後、フォトダイオードで電気信号に換えます。

専門分野
精密測定、超精密設計
研究テーマ
  • 真直形状や案内面移動誤差の測定(図1)
  • 真円形状や軸の回転振れの測定
  • 細管内形状測定(図2)

小松研究室

准教授:小松 喜美

相変化とエネルギーの有効利用
排水管の凍結状況

図1 排水管の凍結状況

複雑な流れの数値計算結果

図2 複雑な流れの数値計算結果

皆さんご存じのように、秋田の冬は寒く、多くの雪が積ります。そのために、凍害対策や除排雪・融雪作業に非常に多くの労力とコストを掛けています。当研究室では、このような雪国特有の問題を解決するための研究に取り組んでいます。凍害対策に関しては、ヒーターなどを用いずに排水管の凍結を防止することができる技術の開発を目指した実験を行っています。融雪技術に関しては、実験とコンピューターを利用した数値計算を併用して、より効率的な融雪方法について検討しています。また、水が氷になる際の潜熱を利用して熱を蓄える氷蓄熱装置の高効率化に関する研究も行っています。

図1は氷点下15℃の室内で凍結する通常の排水管(左)と氷点下25℃の室内でも凍結しない開発中の排水管(右)の写真です。ともに排水開始7時間後の状況を撮影したものです。この排水管は秋田県内企業と共同で開発しています。

図2は融雪剤を含む水溶液中で氷層が融解する場合に現れる1つの濃度差対流と2つの温度差対流が複合した複雑な流れの数値計算結果です。実験においても、これと同様な流れが確認できます。

専門分野
伝熱工学
研究テーマ
  • 熱エネルギーに依らない排水管凍結防止技術の開発
  • 水溶液の相変化現象の解明
  • 氷蓄熱装置の性能向上

宮野研究室

准教授:宮野 泰征

革新的生産プロセス開発と材料の環境特性評価
図1 摩擦撹拌接合の様子

図1 摩擦撹拌接合の様子

図2 溶接部の微生物腐食例

図2 溶接部の微生物腐食例

接合技術は、現代の文明社会を支える重要な基盤技術の一つです。このような接合技術に関わるテーマに本研究室は二つの観点から取り組んでいます。
一つは、新しい接合技術として期待される摩擦撹拌接合に関する研究です。この方法は、一般に良くしられる溶接とは全く原理が異なり、金属を(溶融させずに)固相のまま接合する技術です。溶接時の材料特性の劣化を回避できるだけでなく、環境、人に優しい生産プロセスとしても期待されています。
もう一つは、ステンレス鋼溶接部の微生物腐食に関する研究です。金属の溶接部は、接合時の熱履歴によって材料的特性が、施行前と大きく変わってしまう場合があります。このような材料の特性の変化により、環境中の微生物の活動が刺激される場合があります。微生物腐食は、このような材料的名要因により、材料の腐食・劣化が微生物により誘導される現象と言えます。
環境中の微生物と材料の相互作用を研究することで、腐食に強い材料、生物が関与する汚れに強い材料等を開発するための技術が期待されています。

図1は、摩擦撹拌接合の様子です。ツールとよばれる回転工具が回転運動し、材料に摩擦熱を発生させています。この工具が走行することで、材料は軟化、一体化し接合が実現ざれます。
(写真提供:大阪大学接合科学研究所 藤井研究室)

図2は、微生物腐食と結論づけられたエネルギープラントの被害部の様子です。腐食に強いはずのステンレス鋼に数ヶ月で孔が開形成された際のミクロ(電子顕微鏡)写真です。オーステナイト相が選択的に溶解され、スケルトンとよばれる腐食構造が確認できます。

専門分野
接合工学、微生物腐食、抗菌性金属材料
研究テーマ
  • 鉄鋼材料を対象とした摩擦撹拌接合
  • ステンレス鋼溶接部の微生物腐食
  • 各種金属の抗菌性発現挙動

古林研究室

准教授:古林 敬顕

持続可能な脱炭素社会をめざす地域エネルギーシステム
秋田県のエネルギーフロー(2016)

図1 秋田県のエネルギーフロー(2016)

東北地区のCO2フリー水素製造ポテンシャル

図2 東北地区のCO2フリー水素製造ポテンシャル

持続可能な脱炭素社会の実現を目標として、地域エネルギーシステムの設計研究に取り組んでいます。エネルギーシステムとは、化石燃料や再生可能エネルギーなどの資源を、エネルギー変換技術で電力や熱、輸送エネルギーに変換し、需要家が暖房や照明などのサービスを得るために消費する、一連の流れを一つの大きなシステムとする考え方です。具体的な地域を対象として、エネルギー需給の現状と、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーが導入されることで、地域のエネルギー利用効率、二酸化炭素排出量、経済などにどのような影響を与えるのかを、理論計算やコンピュータシミュレーションによって分析しています。

図1は、秋田県を対象として、エネルギーフロー図です。秋田県内で消費される資源が、どの需要家でどれだけ消費されているのかを太さで表しています。寒冷地であるため暖房などの熱需要量が多く、家庭やオフィスなどの業務にて、石油系燃料の消費量が多いのが特徴です。

図2は、新潟県を含む東北地区を対象として、風力発電由来の水素製造ポテンシャルを解析した結果です。北東北に大きなポテンシャルがあることがわかります。

専門分野
エネルギー学、システム工学、環境影響評価
研究テーマ
  • バイオマス利活用システムの設計および解析
  • CO2フリー水素のサプライチェーン設計
  • 地域熱供給システムの最適設計
  • 地域のエネルギー需給構造の分析
  • 再生可能エネルギーの導入影響評価

杉山研究室

講師:杉山 渉

希薄な気体と風の流れ
図1 風の流れを作る風洞装置

図1 風の流れを作る風洞装置

図2 ステンレス製真空容器

図2 ステンレス製真空容器

真空技術は、断熱、食料の保存や電子部品への薄膜加工等、幅広い分野で利用されています。真空と聞くと何も存在しない空間を想像するかもしれませんが、実際には気体が希薄な状態になって存在しています。そして、その流れは、普段我々の周りにある空気の流れとは異なる性質を持っています。一方、風は自然エネルギーとして注目され、風力発電に利用されています。しかし、風力発電に適した(強い風が安定して吹く)場所は限られています。より多くのエネルギーを得るためには、強い風の吹かない場所でエネルギーを有効に利用する工夫も必要です。本研究室では、希薄な気体の流れの性質や小型風車を用いた風力エネルギーの利用法について、実験を中心とした研究を行っています。

図1は風の流れを作る風洞装置です。この風洞で作られる流れの中(図右側)に風車模型などを置き、その特性を調べる実験を行います。

図2はステンレスで出来た縦長の真空容器です。真空容器内の空気は真空ポンプを使って容器の外に出されます。この真空容器内に流路を設置して真空中の流れを調べます。

専門分野
流体工学、真空工学
研究テーマ
  • 流路内希薄気体流に関する研究
  • 風力エネルギーを利用した水質浄化に関する研究
  • 小型風車の性能向上に関する研究

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